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伊坂幸太郎『太陽のシール』産むか、産まないか

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伊坂幸太郎『終末のフール』

伊坂幸太郎さんの小説は面白い。
好きな作家さんのひとりだ。

私が『太陽のシール』を含む連作短編小説集『終末のフール』を読んだのは、今から4年前の偶然にも出産後、読書を再開した記念すべき1冊目だった。
そして、大好きな本だ。

少しあらすじやネタバレも書くので、この本を読もうと思っている方は、先に本を読んでからにした方がいいと思う。

また、羊水検査やダウン症のことも書いている。
ここに書かれているのは、私が決断した考えであり、人それぞれ環境や考えによって異なるので、批判したりされたりというものではないことを前もって理解していただきたい。

『太陽のシール』あらすじ

連作短編小説集『終末のフール』の中のひとつの短編である。

小惑星が3年後に地球に衝突して滅亡することが確定されている。
そんに中、10年妊娠しなかった夫婦の間に赤ちゃんができる。
でも、産んでも地球の滅亡により子供は2歳までしか生きられない。
こんな状態で産むのは親のエゴになるのかもしれない。
産まないと決めてしまうと、小惑星の衝突が間違いなく起こりうる、認めたことにならないだろうか。

産むか、産まないか。

主人公の夫は元々とても決断力がなく、今回も決めかねる。
考えて考えて・・・ある日友人の話しを聞き・・・

産むか、産まないか。羊水検査をするのか、しないのか。

妊娠おなかの中の娘エコー写真

いろんな立場の人がいて、産む、産まないの理由もひとつではないし、結果を出すのも人それぞれだ。

だから、私が出した結果もそのひとつに過ぎず、何が正しいのかは本人の中だけにある。

この小説を読んだ時、偶然にも出産後すぐの頃だったことは先に書いたが、もし、数年後、終末が訪れるとなら、私は夫と娘と共にその時までどう過ごし、そしてその時をどう迎えるのだろうと想像したら、涙が溢れて止まらなかった。

もし、おなかの赤ちゃんが先天的な病気があれば、産むか、産まないか。

そのことも考え、妊娠初期の頃の出来事を思い出す。

もし、ダウン症であればおろそう。
だから羊水検査を受けよう。
そう夫婦で話し合った。

そして、産婦人科の先生に羊水検査があると聞きました、受けたいのですが・・・と、おずおずと尋ねた。

先生はそれまでの柔らかい表情を一瞬にして固くし、「おなかにはもう心臓の動いている赤ちゃんがいるんだよ!検査して結果次第でどうするの?」と。

私は夫と話し合ったにも関わらず、先生にそう言われ自分の気持ちにはっきり気付いた。

私はどっちにしろ、おろしたくないのだと。

夫にその後、泣きながら伝えると、夫は「そうだと思ったよ。それでいいよ」と言ってくれた。

私は羊水検査を受けず、出産した。

地球滅亡が決まっていたとしたら・・・

話を小説に戻す。
小説のように数年後地球滅亡と言われている世の中で、もし、子供を産んでも、その子は数年しか生きられないとする。

それでも、やっぱり、私は産む。
産みたい。

数年の命であると確定されていても、やっぱりおなかの子供に会いたい。
少しでも楽しい時を過ごしてもらいたい。
地球滅亡まで家族で暮らし、そして、最期は一緒に抱き合い、その時を待ちたい。

そんなふうに心の底から思った。
『太陽のシール』でそのことを思い、嗚咽が出るほど泣いた。

この短編を含む『終末のフール』は、そういった生きること、死ぬことについて考えさせられるもので、とても心の中に残った小説だ。